ひとつめの出会い

その時わたしは小学校3年生。場所は、市内の総合体育館のギャラリー。

私は、12チャンネル(当時のアナログ放送におけるEテレ)しか見ることのない小学生でした。
3歳差と7歳差の妹がいる我が家では、いつまでもテレビの世代交代は起こらず、「芸能人」をほとんど知らないまま9歳になりました。

私には親友がいます。小学校一年生の時に同じクラスになった女の子です。お察しかもしれませんがこの親友が嵐にハマったことにより、今後の私の人生は大きく変わることになります。
さて、文頭のシチュエーションをもう一度思い起こしてみましょう。なぜ体育館のギャラリーにいたのかは覚えていませんが、おそらくどちらかの兄弟の習い事について行って、見学していたのだと思います。
そのとき、親友が手に持っていたのはiPod。イヤホンを半分こする、よくある流れです。


「この曲、めっちゃいいで」


そう言われながら、何曲も何曲も嵐の曲を聞かされました。嵐、という人たちがいるのは知ってるけど、顔と名前が一致しないし興味も全然ない私からすれば、聞かされた、というのが率直な思いでした。
そんな中、一曲だけ頭から離れなくなったのが、「風の向こうへ」です。2008年、truthと同時に両A面シングルとして発売されたこの曲が、異様に印象に残ったのです。

それから、嵐自身の露出も増えていき、街中やふと見たテレビで嵐の姿をよく目にするようになり、知っていくのに時間はかかりませんでした。

祖母の入院していた病院に置かれていた嵐が表紙の月間TVガイド。これはのちに、私が初めて手に入れた嵐が表紙の雑誌として、実家の本棚に大切に保管されることになります。

親友の嵐推しは止まらず、学校でも放課後でも、布教されていました。
もちろんその結果、私は、立派なひよっこ嵐ファンとなっていたのです。

初めて使う録画機能。初めて買ったドル誌はduetでした。母親と2人で行ったスーパーの雑誌コーナーで買ってもらって、その後に寄った喫茶店でワクワクしながら読んだのをよく覚えています。
嵐は私にたくさんの初めてをくれたのです。

しかし。この段階でまだ私は「推し」という概念を持っていませんでした。
嵐はみんな仲良しで、5人とも面白くて好き、だったので、容姿では誰が好き、という段階まで至ってなかったのが大きな原因でしょう。

今ならとりあえず顔を見ますが。

もちろんかっこいい人たちだとは思っていましたが、小学生だったからこそ、彼らの容姿の素晴らしさにはまだ、完全には気づけていなかったのです。

二度めの出会いは、私がたった1人の彼に釘付けになったとき。嵐を好きになってから、1年が経とうとしていました。